宮沢賢治の『紫紺染について』
2019年 03月 29日
前回紹介した舞台『イーハトーボの劇列車』。
その中でちょっと気になるエピソードがありました。
賢治が乗った東京行きの列車には
様々な人が乗り合わせます。
それが賢治の童話に登場する人物と
リンクしたりしなかったり・・・。
気になったのは、宇梶剛士さんが演じる『山男』
髪も髭もボサボサの山男は
「工芸の研究所の偉い人に呼ばれて東京に行く」と言います。
紫紺染めについて講釈して欲しいと手紙が来て
五円五十銭同封されていたと。
その金で酒を浴びるように呑んだので
酔っぱらっているんだと。
車掌が巡回すると山男切符は持っていません。
どうやら呑んでしまった五円五十銭は、東京までの旅費だったらしく
同乗していたサーカスの団長が払ってくれます・・・。
と、まあこんなエピソードで
染織オタクの私は「紫紺染」(紫根で染めた色が紫紺色)と聞いて
俄然興味が沸いてしまいました。
賢治の童話に、そんな話があったのだろうか?
少なくとも私は全く読んだ記憶が無いので
別府市の図書館で調べてみました.
図書館の蔵書検索用パソコンでいろいろワードを試してみました。
なかなか上手くいかず、シンプルに「紫紺」とだけ入れてみたら以外とヒット。
『読んでおきたいベスト集!宮沢賢治』の中に
短い童話(紫紺染について)を見つけました。
盛岡の工芸学校の先生達が
廃れてしまった紫紺染めのことを知りたいと、山男を招きます。
"山男はお酒をがぶりと呑んで云いました
「しこん、しこんと。はてな聞いたようなことだが
どうもよくわかりません。やはり知らないのですな。」
みんなはがっかりしてしまいました。”
最初こんな風だった山男。
酒がすすむとだんだん様子が変わっていきます・・・。
続きはよかったら皆さん読んでみてください。
劇中のお話とは少し違うようです。電子書籍でもたぶん読めます(笑)。
これは農学校の教師時代などに見聞きした
実話なのかもしれません。
岩手の南部紫根染めは、現代も人気が高い工芸品。
宮沢賢治研究をしている方々の間では周知のことかもしれませんが
民族学的にもとても興味深い。
賢治らしい不思議な童話です。
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by teorimonogatari
| 2019-03-29 00:02
| 感想雑記
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